宮城県石巻市の復興住宅で一人息子と暮らす真城蒼は一見、明るく立ち直ったかのように日々の生活を送っている。しかし、あの日、津波で行方不明になった夫・高臣を待ち続けている。当時、高臣と義母の浅子が大切に営んでいた本屋兼自宅も流されてしまい、その土地は災害危険区域に指定されたため、元の場所へは戻ることができずにいる。 あれからまもなく10年。蒼はコツコツと買い直した本と貯めてきた開業資金を手に街中の空き家をリノベーションして、高臣の愛する本屋を再開させることを決める。その時、義理の妹・遥の紹介で、人付き合いが苦手な移住者の建築士・葉山瑛希と出会う。当初は正反対の性格と異なる境遇からわかり合えない二人だったが、行方不明の夫・高臣の本屋を一緒に作るうちに互いにひかれあっていく。二人はうまくいくかに見えたが、高臣の存在が大きく、蒼も瑛希も踏み込むことができない…。